旅するように暮らす本―「葉書でドナルド・エヴァンズに」
2011年01月19日 - books
旅するように暮らす本ももう五冊目。
五冊目は、不思議な本だ。

葉書でドナルド・エヴァンズに/平出隆 '02
「ドナルド・エヴァンズ」は1945年生まれのアメリカの画家で、のちにオランダに渡り、火災で亡くなった人物。31歳の若さだった。
彼が遺したのは、「架空の国の切手を発行し、自ら集め、それを作品とする」という世にも不思議な仕事。
詩人・作家の平出隆さんは、むろん本人と面識はない。
しかしこの画家に不思議なシンパシーを感じ、その「死後の友人」となって彼の足跡をたどりはじめる。
そしてその旅の途上で、亡きエヴァンズに宛てて180枚の葉書を書きついでいく、それがこの本なのだ。
エヴァンズが遺した架空の国の切手たちの精妙なこと。そしてそれを追う詩人の足どり、手つきのやさしく丁寧なこと。
切実なようで、どこかためらうようなゆらぎ。
平出さんの著作には、いつも旅の気配が漂う。なにかを追って、いろいろなところを旅しつづけている人だ。
けれどその旅はいつも、今はもうこの世に亡い人々との、そして彼らが遺した物たちとの対話の時間。
だからこそ、その書きものはいつも、こんなにも静謐な気配にみちているのだろう。
隣にいる人にだけ、小さい声でそっと「美しい本だよ」と教えたくなるものばかりだ。
じっさい平出さん自身が装丁まで手掛けているものも多く、「本」自体が美しい。
どこでも買えなくなってしまう前に、一冊ずつ集めていきたいと思っている。
そしてつい最近、平出さんのこんなエキサイティングな試みを知った。
→via wwalnuts 叢書
amazonに引かれているレビューによると、この本(シリーズ)の趣旨は以下のとおり。
-------------------------------------------------------
(日本経済新聞2010/10/11朝刊)
初版40部、詩人が問うミニマムな書籍流通《電子メディアの進展で出版界は構造不況にあえぎ、初版500部程度で定価数千円という詩の本も苦境にある。「他人に頼らず、持続可能なメディアはできないか」と考えた平出がたどり着いたのがこの形式だった。「求める読者は多くないが、限定本ではない」。初版40部は顔の見える読者の数であり、コストを回収するのに必要最小限の部数。さらに不特定多数の読者もネット書店を通じて本を知り、購入できる。親密さと開放性を併せ持つ流通システムだ。電子出版の激流のなか、詩人もまた「本」の形を問うている。
-------------------------------------------------------
amazonや限られた本屋では「ニュートラルな形態」のものが買えるというけれど、
via wwalnuts 叢書のサイトには次のようにあり、もちろんこちらで買うことにした。
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郵便で受け取るという方法が基本形となります。
この場合、封筒状の表紙に、切手とお宛名のシールを貼り、
著者の署名入りで、直接、版元からお手許へ郵送いたします。
郵送による汚れやへたり、及び消印の付加は、
唯一性のある mail art としても意図されたデザインの範囲とご理解ください。
-------------------------------------------------------
詩人の詩が、自分の名前と一緒に紙に乗って、家のポストに届く。
旅する言葉。
同時代に生きているって、何物にも替えがたい、素敵なことだ。
届くのが楽しみで待ちきれない。

雷滴 その拾遺/平出隆 '10
五冊目は、不思議な本だ。

葉書でドナルド・エヴァンズに/平出隆 '02
「ドナルド・エヴァンズ」は1945年生まれのアメリカの画家で、のちにオランダに渡り、火災で亡くなった人物。31歳の若さだった。
彼が遺したのは、「架空の国の切手を発行し、自ら集め、それを作品とする」という世にも不思議な仕事。
詩人・作家の平出隆さんは、むろん本人と面識はない。
しかしこの画家に不思議なシンパシーを感じ、その「死後の友人」となって彼の足跡をたどりはじめる。
そしてその旅の途上で、亡きエヴァンズに宛てて180枚の葉書を書きついでいく、それがこの本なのだ。
エヴァンズが遺した架空の国の切手たちの精妙なこと。そしてそれを追う詩人の足どり、手つきのやさしく丁寧なこと。
切実なようで、どこかためらうようなゆらぎ。
平出さんの著作には、いつも旅の気配が漂う。なにかを追って、いろいろなところを旅しつづけている人だ。
けれどその旅はいつも、今はもうこの世に亡い人々との、そして彼らが遺した物たちとの対話の時間。
だからこそ、その書きものはいつも、こんなにも静謐な気配にみちているのだろう。
隣にいる人にだけ、小さい声でそっと「美しい本だよ」と教えたくなるものばかりだ。
じっさい平出さん自身が装丁まで手掛けているものも多く、「本」自体が美しい。
どこでも買えなくなってしまう前に、一冊ずつ集めていきたいと思っている。
そしてつい最近、平出さんのこんなエキサイティングな試みを知った。
→via wwalnuts 叢書
amazonに引かれているレビューによると、この本(シリーズ)の趣旨は以下のとおり。
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(日本経済新聞2010/10/11朝刊)
初版40部、詩人が問うミニマムな書籍流通《電子メディアの進展で出版界は構造不況にあえぎ、初版500部程度で定価数千円という詩の本も苦境にある。「他人に頼らず、持続可能なメディアはできないか」と考えた平出がたどり着いたのがこの形式だった。「求める読者は多くないが、限定本ではない」。初版40部は顔の見える読者の数であり、コストを回収するのに必要最小限の部数。さらに不特定多数の読者もネット書店を通じて本を知り、購入できる。親密さと開放性を併せ持つ流通システムだ。電子出版の激流のなか、詩人もまた「本」の形を問うている。
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amazonや限られた本屋では「ニュートラルな形態」のものが買えるというけれど、
via wwalnuts 叢書のサイトには次のようにあり、もちろんこちらで買うことにした。
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郵便で受け取るという方法が基本形となります。
この場合、封筒状の表紙に、切手とお宛名のシールを貼り、
著者の署名入りで、直接、版元からお手許へ郵送いたします。
郵送による汚れやへたり、及び消印の付加は、
唯一性のある mail art としても意図されたデザインの範囲とご理解ください。
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詩人の詩が、自分の名前と一緒に紙に乗って、家のポストに届く。
旅する言葉。
同時代に生きているって、何物にも替えがたい、素敵なことだ。
届くのが楽しみで待ちきれない。

雷滴 その拾遺/平出隆 '10
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